例えば電話もメールもSNSも、一定確率で現実世界のオリ主♀に繋がってしまう安室さんの話。
「…風見か?至急調べてほしい案件が、」
『 ……すみません、こちらは風見さんと仰る方の電話ではないんですが』
「っ、!?これは失礼いたしました!」
初めは単なる間違い電話だと勘違いするの。
「風見!例の件だが新たな、」
『私です』
「…………はい」
『別に降谷さんがわざとやってる訳では無いと分かってます』
「…ええ」
『ですが、三日三晩に渡る鬼電は流石に、さすがにね』
「ご迷惑おかけします…本当に…」
『あと、私のスマホに命が狙われそうな情報を送り付けるのもやめてもらえます?』
そのうち、電話では必ず名乗ってから話すようになる「俺だ」派の降谷さん。
「…降谷だ」
『貴方でしたか。お勤めご苦労様です』
「はーー……本当にコレ、どうなってるんでしょうね…」
『電話番号の変更も今回で5回目になる私に言われても。通信会社を変えても無駄だということは分かりましたが』
郵送書類すらオリ主♀に届くようになり、ついに降谷さんはオリ主を絶対安全なデータ保管庫として扱うようになる。
「降谷です」
『…私です』
「ちょうど良かった。今から僕の言う8桁の番号を書き留めてくれませんか?」
『今は夜中の3時だよ勘弁して…』
「まぁそう言わずに、僕と貴方の仲でしょう?」
「────例えば、大切な人が亡くなったとして。貴方は何を考えますか?」
『さあ。生憎、私は喪って悲しむほど深い繋がりを持っていませんので』
「…そう、ですか。失礼しました」
『ですが貴方が死んでしまったら……そうですね。お盆にキュウリのお馬さんくらいは作ってあげますよ』
そんなゆったりとした二人の繋がり、いつでもどこでも電話・メールで。
たぶんオリ主♀はドライにクールに、降谷さんをそっと支える一言を送ってくれるんです。
『どうせ異世界、時間の彼方。貴方の弱さ知る人は誰もいません。なら怨み妬みを吐き出したとして、いったい誰が貴方を責めましょうか?』
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